
「歌ってみた、を始めようと思って、ちゃんと調べて
マイクとオーディオインターフェースを買ってきたのです。思ったより安かったです。」

「趣味の範囲なら、機器は何でも良いと思うけれど、やっぱりマイク周りの機材は欲しいよね。で、何を買ったの?」

「PLANEX USB→3.5mmヘッドホン/マイク端子 USBオーディオ変換アダプタ
PL-US35APと、audio-technica ダイナミック型ボーカルマイクロホン
AT-X11です。えっへん。」

「
えっ。」

「えっ。」

「何それ。どこに書いてあったの?」

「インターネットです。」

「色々思うところがあるけれど、今回はマイクの話をするよ。」

「結論から言うけど、
ダイナミックマイクを使用するには、
マイクロホンアンプか、
マイクプリアンプ内臓のミキサーか、
アンプ内臓のオーディオインターフェース等が必要です。オンボードでもアンプがあったりするけど、プラグインパワー対応のマイクの使用を想定しているものになるよ。その小さいUSBの普通のアダプタはダイナミックマイクの使用は推奨されていない思うよ。」
注.オーディオI/Fはマイクだけの録音向きです。オーディオI/Fはステレオミキサー機能が無い場合が大半です。ニコ生でBGM+マイク放送をしたい場合には向かなかったり、ミキサーと組み合わせる必要が有ったりします。

「よくわかりません。」

「さらに、説明を続けると、その小さい普通のUSBのマイクを挿すアダプタは、
プラグインパワーマイク用の電圧がかかっていて、ダイナミックマイクには良くないよ。すぐに壊れることは無いと思うけれど、マイクが痛むっぽいよ。」

「えっ、せっかく買ったマイクが痛むのは嫌です。
プラグインパワーが有ると、マイクの音が大きくなったりしそうな気がするのですが、違うのですか?」

「ダイナミックマイクは、そういう
プラグインパワーとか要らないよ。プラグインパワーが無くても、マイクが頑張るから、その頑張りを大きくするために、
アンプが必要だよ。まずはダイナミックマイクの構造を説明するよ。」

「ダイナミックマイクって言うのは、要するに↓こう。」

「えっ…?」

「マイクどこだお?」

「小学校で、理科の時間に、『電磁石』『モーター』とかそういうの有ったでしょ。それが『
電磁誘導』になって、巻いたコイルの中で磁石を出し入れすると、誘導電流が発生するよ。発電所ではこうやって運動エネルギーを、電気エネルギーに変換してるんだね、って習ったよね。」

「そういえばそんな授業があったかもです。」

「で、一般的なダイナミックマイクは、中に
コイルと
磁石が入っていて、」

「声を出すと、マイクの中の
振動板が動いて、中のコイルと磁石のところで誘導電流が発生するのかお?」

「大体そういうことになっているよ(他にも色々あるけれど省くよ)。」

「じゃあ、ダイナミックマイクは小さな発電所だお。」

「じゃあ、歌えば発電して、電気代が浮いたりしますか?家計に優しいマイクですか?」

「あのさ、
声を出してマイクの中の振動板を振動させる程度のエネルギーだから、発電所にするとしたら、何人の奴隷が必要になるのかと。北斗の拳の人力発電機の方がまだまし。JR東日本が東京駅の通勤ラッシュの床の振動で発電みたいな実験はしてた気がするけどね。」

「残念です。ダイナミックっていうから、ダイナミックプロとか、ダイナミック企画、永井豪、マジンガーZ、みたいな凄いマイクかと思っていました。」

「で、声の音波の振動程度の起電力だから、」

「増幅するために、マイクロホンアンプが必要なのですか?」

「そういうこと。ダイナミックマイクだけだと、音声信号が小さいので、増幅するためにアンプが必要だよ。」


「アンプが必要なのはわかりました。とりあえず、『
BEHRINGER ミキサー XENYX 502』が『マイクプリ「XENYXプリアンプ」搭載』って書いてあったから、これを用意しました。」

「あとはマイクを繋いで…。あれっ?音が小さすぎます。アンプ搭載のはずなのに。困りました。」


「
その機器は、マイクアンプが有るのは、XLR接続の端子の方だよ。その機器の標準プラグ(フォーン、シールド)の方はギター等の機器用だからマイクには向かないよ。」

「ついでに、XENYX 502は常にコンデンサマイク用に+16Vの電圧がかかっているから、ダイナミックマイク用にもあまり向かない気がするよ。でも、BEHRINGERは、XENYX 502とダイナミックマイクのXM8500がセットになっている商品を発売しているから、問題なく使えるっぽい感じではあるよ。」


「でもできれば、XENYX 502より、ファンタム電源のON/OFFスイッチのある
XENYX 802か上位機種を選択したほうが良いと思うよ。」

「更にAT-X11のマイク本体のXLR端子は3本端子付いてるけど、1本は単なる
ダミーなので、出来ればマイクも変えるか、
AT-MA2みたいにフォーンプラグが使えるアンプを使う方が良いと思うよ」

「えっ(´・ω・`)AT-X11は定価一万円くらいって書いてあって、Amazonで凄く値引きしてるからお得だと思ったのです(´・ω・`)」

「それは参考価格が凄いけど、いつも凄く値引き状態であまりさんこうにならなかったり。使えてるなら全然問題ないし、良いと思うよ。でも、AT-X11はケーブル付属、変換プラグ付属だからお遊び用にはいいかもしれないけれど、まじめに使うにはいまいちな仕様な気がするよ。ニコニコ市場だと数字が凄いことになってるけど、個人的には人には勧めたくない。」

「で、
機器によって違うけれど、XLR端子のほうだけアンプ可能だったり、フォーンプラグの方は感度が弱かったりする機器が多いから、できればXLRケーブルを用意することを勧めるよ(できれば、っていうか機器によってはXLR必須)。」

「マイクを手で持ってると疲れるので、机において雑談放送しようとおもったのですが、ちょっと角度や距離がずれると音の拾いが悪くなります。」

「マイクスタンドを使うと便利だよ。」

「そして、マイクには『指向性』があって、マイクは中の『振動板』が振動する仕組みだけど、
良い位置から外れると振動版が振動しないのが、『単一指向』、位置からずれても振動するのが『全指向』。」

「全指向の方が音がたくさん拾えて良さそうです。」

「いろんな角度の音を拾えると、余計な音や雑音も拾いやすいよ。声だけを録音したい場合には、単一指向の方が向いているよ。」

「単一指向性のマイクの場合は、角度が外れたりすると、音を拾いづらいよ。これを利用して、遠くから『おーい、こっちだーー』って呼びかける村人みたいなセリフをとるときに、わざと角度を外してみるみたいなテクニックもあるらしいよ。」

「そして、図を見るとわかるけど、単一指向性の場合には、穴があることが大事だから、そのあたりを
手で塞ぐと単一志向性のマイクでも全指向性になるよ。ただし、その所為でスピーカーの音が拾えるようになって、ハウリングしたりする原因になるからマイクのヘッドを手で塞ぐのは良くないよ。」

「使っているマイクの指向性に合わせた使い方をすると良いと思うよ。」

「でも、今回はAmazonのレビューもちゃんと調べました。」

「良さそうな組み合わせだと思ったのです。」

「これは…。業者とかじゃないのかお?」

「直指しよりは良くなった、価格が安い、ってレビューだよ。オンボードのサウンドカードが酷すぎて、USBにしたらノイズが減ったってことだと思うし。安価で使えればいい人にはこれでも良いのかな?ってことで、折角のレビューに文句を言うのはアレだからこの話は終わり。機器や使う人の主観によって色々あるよ。」


「向いてない組み合わせでも普通に使えちゃったりする場合もあるみたいだから、解説側としては困ってしまうよ。ニコ動を見ると『PL-US35APとAT-X11で録音しました』っていう動画があって、丁寧に市場に商品が張ってたりするんだよね。」

「パソコンにそのまま繋いでるけど、使えてるよ、って人も詳細はわからないけど見かけるよね。使うだけなら使えたりするけど何かもったいないというか。」

「
使えても音が小さかったり、マイクの性能を活かせない場合が殆どだから、普通はアンプを使うよ。アンプを使ったら、パソコンのマイク端子じゃなくて、ライン入力を使うのが普通だよ。」

「アンプとか面倒だお。」

「特にダイナミックマイクを使う理由が無い場合は、普通の小さいプラグインパワー対応のマイクを使った方が楽だよ。」

「あと、いつもながら説明は省くけれど、テクニカの低価格ダイナミックマイクはマイク側のXLR端子の3つのうち1つは飾りで、実際には2端子とかで、お勧めできなかったりするよ。ミキサーのXLR接続の話の時も書いたけれど。」

「話の流れが、テクニカのマイクはいまいちみたいになっちゃったけれど、テクニカも良いマイクは有るし、製品にもよるけれど、コストパフォーマンスは良いよ。」

「マイク関係はまた機会が有れば、書くよ今回はここまで。」
今回の記事には『モアイ部』様のアイコン素材を利用させていただきました。感謝。